結論ですが、GPTs(カスタムGPT)の代替にはなりません。
「自分の知識や話し方を設定したAIを作り、受講生にリンクを渡す」。このGPTsの手軽さを、そのままChatGPT Sitesに置き換えられるかというと、そうではありません。今回のように自分のOpenAI APIを接続する構成では、APIキーの準備も、従量課金の負担も作成者側に必要です。
ただ、作ってみて面白かったのは、ログインさせるかどうかを、自分で設計できることでした。さらに、ログインした人が分かるなら、どこまで履歴を残せるのか。作成者には何が見えるのか。ここを聞いていくと、GPTsとの違いが見えてきました。
今回は、そのやり取りで分かったことを順番に整理します。僕はAIチャットつくーるの開発・運営者でもあるので、最後に「月額定額で専用AIを共有できることの意味」もお伝えします。公式資料と、今回の制作で確認した範囲に基づく記事です。
出発点は「GPTsのように、リンクを受講生に渡したい」
僕が作ろうとしたのは、AI活用について僕と壁打ちするように相談できるチャットです。受講生に共有したいので、「URLを知っていれば誰でも利用できる」と指定しました。
ここで比較したいのは、GPTsのリンク共有と同じように、使ってほしい人へURLを渡せるかです。組織内の厳密な限定共有をしたい、という話ではありません。
| 比較するもの | 使い始める入口 | 会話前のログイン |
|---|---|---|
| GPTsのリンク共有 | リンクを渡す | ChatGPTログインが必要 |
| 今回の公開Sites | リンクを渡す | なし・任意・必要を設計できる |
| AIチャットつくーる | リンクを渡す | アプリへの登録・ログインが必要 |
GPTsの会話開始にはChatGPTへのログインが必要です。AIチャットつくーるでは、アプリに登録して共有AIを利用します。Sitesは公開サイトに任意のChatGPTログインを追加できます。GPTsの利用条件、Sitesのログイン機能、AIチャットつくーるの案内
それぞれのアクセス条件・利用条件を満たせば、リンクを再共有された人も利用できます。そこは、ここで問題にしたい点ではありません。リンクだけで案内できるのは便利で、それは3つに共通する良さです。 違いは、そのリンクを開いた後に、どんな体験を用意できるかでした。
Sitesの共有先は5種類。個人と法人では選べる範囲が違う
Sitesの共有先は、大きく5種類あります。ただし、個人プランと法人・組織向けプランでは、ワークスペース内のメンバーを対象にする共有方法の扱いが違います。Sitesの公式仕様
| 共有先 | 個人プラン(Plus・Pro) | 法人・組織向け(Business・Enterprise・Edu) |
|---|---|---|
| 自分・管理者のみ | 作成者本人 | 作成者とワークスペース管理者 |
| 指定したメンバー・グループ | 組織内メンバーを選ぶ共有ではない | 同じワークスペース内で選んだ人・グループ。対応している場合に利用可能 |
| 外部の人を招待 | メールアドレスで招待した人。Plus・Proへ順次提供 | ワークスペース外の招待した人。Business・Enterpriseへ順次提供。Eduは提供状況の確認が必要 |
| ワークスペース全員 | 組織全体に共有する対象はない | 同じワークスペースのメンバー全員。対応している場合に利用可能 |
| インターネット全体 | 公開機能が利用可能なら、URLから誰でもアクセス | 公開が許可されていれば、組織外の人もURLからアクセス |
「ワークスペース」は、会社や学校などでメンバーを管理する共通の利用環境です。個人のPlus・Proで使う場合に、会社のメンバー一覧やグループ共有がそのまま用意されているわけではありません。
5種類すべてが、全プランに同じように表示されるわけではない点に注意してください。外部招待は順次提供され、Enterpriseでは外部招待と一般公開を管理者が別々に管理します。特に一般公開は初期状態で無効で、管理者による有効化が必要です。外部招待の提供範囲と管理設定
今回選んだのは、表の最後にある「インターネット全体」への公開です。その公開サイトに、ログイン機能を付けるかどうかを別に決められる。ここが、次に面白いと感じたところでした。
「ChatGPTでログインするのが普通じゃないの?」
チャット画面ができて、最初に気になったのがこれでした。ChatGPT Sitesという名前なので、共有先でもChatGPTにログインして使うものだと思っていたんです。
でも、公開Sitesはログインなしで開けます。そのうえで「Sign in with ChatGPT」を追加でき、ログイン前後で使える機能を変える設計もできます。公開Sitesと任意ログイン
「最初はログインなしで試してもらって、続きを保存したい人だけログインする」も作れる。 ここはGPTsのリンク共有との違いとして、面白いところです。
| 比較する点 | ログインなし | ChatGPTログインあり |
|---|---|---|
| 向いている用途 | お試し、計算ツール、気軽な単発相談 | 継続相談、自分専用の履歴や設定 |
| 利用者の手間 | URLを開くだけ | 初回などにログインが必要 |
| 個人別の管理 | アカウントの本人確認がなく、同じ人を継続して識別しにくい | 本人を識別し、履歴保存や利用回数制限を実装できる |
これは、Sitesの標準画面にすべての機能が最初からそろっているという意味ではありません。ログインを使い、こうした体験をアプリとして実装できる、という話です。
「ログインしたら、誰が使っているか分かるの?」
次に気になったのは、作成者側から何が分かるかです。
ChatGPTでログインした利用者のメールアドレスは、作成者が見られます。 プロフィール名や、誰が何を相談したかについては、次のように違います。
| 情報 | 作成者は見られる? |
|---|---|
| メールアドレス | 見られる。ChatGPTにログインした利用者のメールアドレス |
| プロフィール名 | 取得できた場合は見られる。名前が取得できない場合もある |
| 利用者を識別するID | 見られる。同じサイト内では同じ利用者を識別できる。別のSitesでは異なるIDになる |
| 普段のChatGPTの会話履歴 | 見られない。このログイン機能では取得できない |
| 作ったサイト内での相談内容 | 見られるようにできる。相談内容を記録し、作成者が閲覧する機能を作った場合 |
| 誰がいつ何回使ったか | 見られるようにできる。利用者IDと利用日時・回数を記録し、表示する機能を作った場合 |
ログインを付けるだけで、作成者向けの一覧画面まで自動で用意されるわけではありません。 情報を保存して後から一覧で見るには、その機能を追加します。
メールアドレスと任意のプロフィール名は公開されているログイン仕様、利用者IDの扱いは今回の制作で使ったSites公式スターターの説明と認証処理で確認しました。
たとえば、利用者IDに相談履歴や進捗を結び付ければ、次回のログイン時に本人の記録を表示できます。利用回数を保存すれば、人ごとの利用上限を設けることもできます。ログインは、こうした管理を作るための土台になるわけです。
一方で、ログイン機能を追加しただけで、利用者一覧・履歴保存・管理画面が自動で完成するわけではありません。必要な保存・表示・権限の処理は追加で実装します。
なお、Sitesの標準アクセス解析で分かる訪問者数・ページ閲覧数は、この「誰が何を使ったか」の管理とは別です。標準解析は現在Enterprise所有のSitesを対象外としています。Sitesのアクセス解析
「その人のChatGPTの履歴まで見えるの?」
本人を識別できるなら、普段その人がChatGPTで相談している履歴まで分かるのか。ここも確認したかったところです。
答えは、このログイン機能だけで、普段のChatGPTの会話履歴を取得することはできません。 公式に説明されているログイン情報の受け渡しと、個人のChatGPT履歴へのアクセスは別です。Sitesのログイン仕様
その一方で、自分が作ったSitesのチャットに入力された相談は、そのアプリが受け取って処理するものです。保存するか、作成者側で閲覧できるようにするかは、アプリの実装によって変わります。
ここは、GPTsとの大きな違いです。GPT作成者は、利用者の個別会話を閲覧できません。外部APIやAppsに入力の一部が送られる場合は別ですが、標準のGPTsに「受講生の相談を作成者が読む」機能があるわけではありません。GPTsの会話アクセスと外部連携
Sitesでは、サイト内の相談を記録して閲覧する機能を作れば、作成者が相談内容を見られます。普段のChatGPTでの別の会話は見られません。
何を保存し、誰が見て、何に使うのか。相談内容を扱うなら、受講生に説明したうえで機能を作る必要があります。Sitesでのデータの取り扱い
ただし、AIの回答にはAPIの準備と費用が必要だった
ここまで見ると、Sitesはかなり自由です。でも、僕が最初に欲しかったのは、GPTsのように「専用AIを作ってリンクで渡す」ことでした。
今回選んだのは、サーバーからOpenAI APIを呼んで回答させる構成です。この方式では、自分でAPIキーを発行・設定し、API使用量に応じた従量課金も自分で負担する必要があります。適切な既存キーがある場合は、それを設定します。ChatGPTとAPIの課金の違い
受講生がChatGPTでログインしても、作成者のAPI費用を、その受講生のChatGPT利用枠でまかなえるわけではありません。本人確認と、回答を生成する契約は別だからです。
| 今回のAPI接続で必要なこと | 作成者側の準備・負担 |
|---|---|
| AIに回答させる | APIキーの発行・設定と接続 |
| 回答生成の料金を支払う | ChatGPT契約とは別に、使用量に応じたAPI費用を負担 |
| 費用の増え方を管理する | 利用状況の確認と、利用上限・停止の仕組み |
これは「自分のAPIをつないでAIチャットを作る場合」の説明です。AIを呼ばないサイトも作れるので、Sites自体の利用に必ずAPIキーが必要という意味ではありません。Sitesの公開・保存にも、プラン別の利用上限があります。Sitesの公式ガイド
改めて、GPTsは手軽さが最強だった
指示や参考資料を設定して、リンクを共有する。標準的なGPTsなら、作成者が回答生成のAPIキーや自分のAPI請求額を管理せずに、その体験を渡せました。外部APIを使うActionsなどを組み込む場合は別ですが、講座用AIを配る入口として、よくできていたと思います。
「設定してリンクを渡すだけ」という手軽さでは、GPTsは最強だったな、と。 これは回答性能のランキングではなく、今回作ってみた僕の実感です。
Sitesには、ログインの有無も、その後の記録や機能も作り込める面白さがあります。一方、その自由度と引き換えに、作成者が準備・管理する範囲も広がる。だから、冒頭の「GPTsの手軽な代替にはならない」という結論になりました。
なお、GPTs(カスタムGPT)は2026年12月11日に提供終了予定です。 移行は全プランが対象で、新規作成の制限だけでなく、既存GPTの動作も終了する予定です。OpenAIはプラグインへの移行を案内しています。アカウントやワークスペースに異なる日程の通知がある場合は、そちらに従ってください。Sitesが公式の自動移行先という意味ではありません。公式の提供終了・移行FAQ
だから、月額定額で専用AIを共有できることに意味がある
僕らのAIチャットつくーるは、「自分の知識を使うAIを作って、リンクで人に渡したい」という用途のアプリです。名前や話し方を設定し、資料を登録して共有する。作成者・受講生ともに、APIキーを発行する必要はありません。
有料プランは、月額定額で、プランごとの利用枠内で使う仕組みです。受講生が会話した分も作成者の利用枠から消費します。アプリへの会員登録は必要ですが、ChatGPTの有料契約は不要です。現在の料金・利用条件
| 気になること | 今回のSites+自分のAPI | AIチャットつくーる |
|---|---|---|
| 共有の入口 | リンクで案内 | リンクで案内 |
| ログインと機能 | 用途に合わせて設計できる | アプリのログイン・保存機能を使う |
| APIキー | 作成者が発行・設定 | 発行不要 |
| AI回答の費用 | 従量課金を作成者が負担 | 月額定額・利用枠で管理 |
| 使いすぎへの対応 | 上限や停止の仕組みを自分で用意 | 利用枠を使い切ると回答生成が停止。自動超過課金なし |
定額は、無制限という意味ではありません。 利用枠を使い切れば回答生成は止まり、プラン変更を選ぶ場合の料金は別途かかります。ただ、使った分だけ自動で請求が増え続ける仕組みではないので、講座で配るAIの費用を考えやすくなります。
ログイン前後の体験や独自の管理画面まで作り込みたいなら、Sitesの自由度が役立ちます。でも、「まず自分の知識を持ったAIを作って受講生に渡したい」「APIの設定や従量課金の管理まで抱えたくない」という人には、その準備が済んでいるアプリが合っています。
GPTsのリンク共有の手軽さがよかったからこそ、それを月額定額の利用枠で提供できることに意味がある。 それが、今回Sitesを作りながら、改めて感じたことでした。

