「このGPTを使ってください」。URLを一つ渡せば、自分の知識や指示を設定したAIを、受講生に使ってもらえる。この手軽さを前提に、講座の特典や日々の相談先を用意していた方もいると思います。
その前提を見直すニュースが出ました。OpenAIは、GPTs(カスタムGPT)を2026年12月11日に提供終了する予定と案内しています。 アカウントやワークスペースに異なる日程の通知がある場合は、そちらに従います。OpenAI公式FAQ(日本語)
そして、案内されている移行先は「プラグイン」です。
ここで気になるのは、「中身を移せるか」だけではありません。今まで使えていた受講生が、次のAIにもたどり着けるのか。 講座を運営する立場では、ここまで含めて移行を考える必要があります。
提供終了の発表と、今日使えなくなることは別
まず、慌てて配布済みのGPTを消す必要はありません。公式FAQでは、既存GPTは権限などの条件に従って終了日まで利用できるとされています。一方、新規作成を終える時期と、既存GPTの動作が止まる時期は分けて案内されています。終了までの扱い
講座内の告知でも、この違いを分けると伝わりやすくなります。
| 伝えること | 受講生が知りたいこと |
|---|---|
| 提供終了の予定 | いつまで使えるのか |
| 今の利用状況 | 今日の課題や相談に使ってよいのか |
| 代わりのAIの準備 | どこから使い始め、何を設定するのか |
| 切り替えまでの窓口 | 困ったときは誰に質問するのか |
終了のニュースだけが届くと、「もう課題に使ってはいけないのかな」と迷う人が出ます。予定と現状を分けて案内することも、作成者側の仕事になります。
去年販売した教材の特典5つを代わりのAIへ移し、会員サイトの案内を差し替えて購入者へ連絡するまでの実例は、開発13日目の日記にまとめています。
そもそも、今回の「プラグイン」とは何か
プラグインという言葉から、外部サービスをChatGPTにつなぐ機能を思い浮かべるかもしれません。今回の説明は、もう少し広いものです。
仕事の進め方を教える指示や、外部サービスとの連携などをまとめ、ChatGPTやCodexに追加して使う機能パッケージ。 これが、OpenAIの説明するプラグインです。指示を担うのが「スキル」、Google Driveなどとの接続を担うのが「アプリ」です。スキルだけを含み、外部接続を必要としないプラグインもあります。プラグインの公式説明
たとえば、営業相談のために「最初に商材と対象顧客を聞く」「提案の前に課題を整理する」と設定していたなら、その進め方を別の形で再利用する発想です。
ただし、専用GPTの会話画面を開く体験と、いつものチャットに機能を追加する体験は同じではありません。
| 比べるところ | GPTsのリンク共有 | 移行先のプラグイン |
|---|---|---|
| 使い始める流れ | 共有されたGPTを開いて会話する | アクセスできるプラグインをインストールして使う |
| 指示の置き場所 | GPTの設定 | プラグイン内のスキル |
| 既存利用者への引き継ぎ | GPTの共有設定に従う | 共有設定は自動では移らない |
| 作成者が確かめること | GPTとしての回答と共有 | 回答に加え、共有・インストール・呼び出し方 |
移行と共有の扱いは公式の移行FAQ、利用開始の流れはプラグインの案内に基づきます。
一番大きいのは、共有設定が引き継がれないこと
公式FAQには、GPTの共有設定は移行されず、既存利用者に代替プラグインのアクセス権が自動で与えられるわけでもないと書かれています。個人アカウントで移行したプラグインは非公開で始まり、一般公開には別途、プラグインの提出手続きが必要です。共有に関する公式説明
つまり、作成者の画面で移行に成功しても、その時点で「受講生への引っ越しも完了」とは言えません。
たとえば、講座の教材ページにGPTのURLを置いていたとします。確認したいのは、次の一連の動作です。
受講生が教材ページを開く
↓
代わりのAIへの案内を見つける
↓
自分のアカウントでアクセスできる
↓
必要なインストール・接続を終える
↓
講座で想定した相談ができる
この最後まで通って、初めて講座の特典として引き継げたことになります。
「受講生だけに配れるか」は、組織内共有と分けて考える
OpenAIのプラグイン説明には、ワークスペース内の人やグループへの共有、組織内のリンク共有、ワークスペースのディレクトリへの掲載が案内されています。ただし、組織内のディレクトリへの掲載と、一般公開は別です。ワークスペースでの共有
これを、そのまま「別々の個人アカウントを持つ受講生にも、同じ条件で限定配布できる」と読み替えることはできません。今回参照した公式資料からは、個人アカウント間でGPTsと同等のリンク限定配布を行う具体的な条件までは確認できません。
また、元のGPTが「URLを知っている人に共有」という設定なら、それ自体は受講生名簿と照合する仕組みではありません。「URLを渡せること」と「受講生以外を制限できること」は、移行前から分けて考えたい条件です。
| やりたいこと | 確かめる内容 |
|---|---|
| URLを送って使ってもらう | 個人アカウントの相手がアクセス・インストールできるか |
| 受講生だけが使えるようにする | 対象者を指定し、対象外の人を制限できるか |
| 受講終了後に利用を止める | アクセスを取り消す方法があるか |
| 教材や指示をそのまま渡さず使わせる | 利用者が中身を閲覧・取得できる範囲 |
最後の点も大事です。ナレッジを移せることと、移した教材を利用者から隠せることは別の話です。「プラグインだから中身は見えない」とは考えず、配布方法と閲覧権限を確かめてから教材を載せましょう。
公開ディレクトリは受講生専用の配布棚ではない
一般公開したプラグインは、ChatGPTとCodexで共通のPlugin Directoryに掲載されます。ただし、審査に通れば全件がトップの目立つ場所に並ぶわけではありません。 メインページに載るのはOpenAIが選んだ一部で、公開の確認には正確な名前での検索や、ディレクトリの直接URLを使います。公開と掲載の公式説明
一般公開は「必要な人が見つけられる入口」を用意するものです。それだけで、講座の購入者を見分ける仕組みが付くわけではありません。
スキルだけのプラグインにノウハウをまとめて一般公開するなら、それは公開先の利用条件を満たす人へ提供する内容として考えます。「受講生だけに渡すつもりだった」という作成者の意図が、購入者認証の代わりになることはありません。
購入者ごとに使える内容を分けるなら、プラグインの公開とは別に、接続先のアプリでログインと契約確認を行う設計が候補になります。OpenAIは、利用者の認証を既存のサーバー側アプリと連携させる方法を案内しています。プラグインのユーザー認証
たとえば、入口のプラグインは検索できても、講座用の回答機能を使うときには本人確認と受講資格の確認が必要、という形です。これは新たに作る場合の設計例であり、GPTの移行ボタンが自動で用意する機能ではありません。
ここには、提供方法を考え直す余地があります。AIの指示を配るだけでなく、更新する教材と、それを使った相談機能を継続して届ける。そうした運用を選ぶなら、認証・契約管理・保守まで含めて作ることになります。すべての講座がこの方式に移るという予測ではなく、検討できる選択肢の一つです。
これまで作ったものの価値は、残せる
GPTsのために考えた質問の順番、回答の見本、整理した資料まで、すべて作り直すとは限りません。自分の仕事に合うAIを作るうえで、その材料は次の環境でも判断の基準になります。
先に手元へまとめたいのは、「AIに何をさせるか」「誰が使うか」「どんな回答なら役に立つか」の3点です。そこが決まっていれば、プラグインを試しても、別のアプリを選んでも、比べる軸がぶれません。
僕はAIチャットつくーるの開発・運営者でもあります。だからこそ、移行先は名前だけで選ぶのではなく、受講生にどんな手間がかかり、作成者がどこまで運用できるかで比べたいと考えています。別の環境を含めて整理したい方は、講座用AIの移行先を考えるガイドも参考にしてください。
では、プラグインへの移行は、受講生に分身AIを渡す方法として現実的なのでしょうか。続編のOpenAIが案内するGPTsからプラグインへの移行は、本当にできるのか調べてみたで、実際の画面を出発点に、公開審査・配布・受講生だけの利用という壁を追います。

