教材の質問に答えるチャットボットは、最初から全講座の資料を入れず、短い教材1本と三つの質問で作り始めると、直す場所を見つけやすくなります。名前・答え方・根拠となる資料を用意し、まず自分で回答を確かめます。
この記事では、文章講座の復習を題材に、AIチャットつくーるで対話型AIを作る流れを説明します。教材と質問は練習用の架空例です。Pythonでチャット画面から自作する手順や、音声・動画アバターの作成は扱いません。
完成形を「一つの質問に答える窓口」にする
僕が会員向けのGPTs(カスタムGPT)を設計したときは、質問を7問に区切り、途中で整理し、最後に成果物を返す形にしました。チャットを続けられることより、利用者が何を持ち帰れるかを決めた設計です。当時の設計の考え方は、教材の質問対応にも応用できます。
今回なら「受講生が見出しの役割を理解し、自分の文章へ戻って直せる」を到達点にします。「文章のことなら何でも答える」と広げるより、答えの良し悪しを自分で確かめられます。
| 設定すること | 今回の例 |
|---|---|
| 利用する人 | 見出しの付け方を学ぶ初学者 |
| 答える範囲 | 用意した教材の「見出し」の章 |
| 回答の形 | 短い説明・例・次に試すこと |
| 答えがないとき | 教材で確認できないと伝える |
1.教材を1本に整える
まずは自分が利用する権利のある資料を用意します。第三者の教材や顧客の相談履歴を、許諾を確かめずそのまま入れないでください。最初は自分で作った練習用資料で十分です。
例えば、次の文章をテキストファイルとして用意します。これはこの記事の練習用教材で、実際の講座からの転載ではありません。
教材名:文章講座・見出しの練習
# 見出しの役割
見出しは、その後の本文が何について書かれているかを伝える。
本文にない効果や数字を見出しへ足さない。
# 練習の進め方
1. 本文で一番伝えたいことを一文にする。
2. その内容が分かる見出しを考える。
3. 見出しと本文が同じことを伝えているか確かめる。
複数の版がある場合は使う版を一つに絞り、見出しを付けます。ファイルの形式や読み取りでつまずいたら、ナレッジファイルの整え方へ進んでください。
2.名前・説明・指示を分けて入力する
AIチャットつくーるで作成画面を開いたら、次のように入力します。画面には「名前」「説明」「指示」「会話のきっかけ」「知識 (ナレッジファイル)」があります。
| 入力欄 | 入れる例 |
|---|---|
| 名前 | 見出しの練習アシスタント |
| 説明 | 文章講座の教材をもとに、見出しの付け方を一緒に確かめます。 |
| 会話のきっかけ | 見出しの役割を教えてください |
| 知識 (ナレッジファイル) | 先ほど用意した練習用教材 |
「指示」には、AIにしてほしい動作を書きます。ファイル名を書くだけでは教材を登録したことにならないため、資料は知識の欄から追加します。
あなたは文章講座の復習を補助するAIです。
登録した教材の範囲で質問に答えてください。
最初に短く答え、その後に説明と一つの例を示してください。
教材を参照した場合は、教材名と見出しを添えてください。
教材にないことは、確認できないと伝えてください。
質問に必要な文章がなければ、文章の提示を求めてください。
最後に、利用者が自分で試すことを一つ示してください。
より細かく調整するときは、指示テンプレートを使えます。指示と資料を分ける考え方は、株式会社AI Orchestraの手順とナレッジの違いでも説明しています。
3.三種類の質問で答えを確かめる
教材の取り込みが完了してから、自分で質問します。「自然な日本語で返った」だけで完成とせず、教材に沿うかを見ます。下表は期待する動作であり、実際に生成された回答の転載ではありません。
| 試す質問 | 確認すること |
|---|---|
| 見出しの役割は何ですか? | 教材にある説明を使い、根拠を示す |
| 来年の講座料金はいくらですか? | 教材にない料金を作らない |
| この見出しを直してください | 見出しや本文が未入力なら提示を求める |
思った答えにならなければ、次の順で原因を分けます。
- 教材の内容を参照していない:取り込み状態と、教材内に答えがあるかを確認する。
- 説明が長すぎる:指示の回答形式を短くし、同じ質問をもう一度試す。
- 教材にない事実を足す:確認できない場合の応答を具体化し、答えのない質問で再確認する。
質問と回答を手元に残すと、変更前後を比べられます。一度に教材も指示も全部変えると、何が効いたか分かりにくくなります。
4.自分で使えたら、共有相手の入口を確認する
回答を確かめた後、公開範囲を選んで公開します。最初は「自分だけ」で確認し、渡す準備ができたら「リンクを知っている人」を選ぶ流れです。公開ボタンのある操作と、編集途中の保存を同じものと考えず、画面の公開状態を確認してください。
相手に渡す前に、利用に必要な登録・利用枠・共有範囲を画面と利用条件で確かめます。「教材を見せる画面がない」ことだけで、回答から内容が伝わらないとは判断しないでください。
AI Crewのチャットボットを自作する前に決める6項目は、資料の扱いや公開範囲を設計する話です。この記事は、既存の作成画面で教材1本から試す操作と点検に絞っています。
最初の1本を作ってみる
手元にある教材を一つ選び、「誰のどの質問に答えるか」を一文にしてみてください。そこまで決まれば、指示と確認用の質問を具体化できます。
教材の内容に加えて、自分らしい判断の仕方も渡したい場合は、自分の分身AIの作り方へ進めます。

